多くの方が一度は憧れるホテルで働く人「ホテリエ」。今回はそんなホテリエは一体どんなお仕事をして、どのくらいお給料をもらい、どのようなキャリアをたどっていくのか、詳しくご紹介します!
記事の目的
ホテリエのキャリアを知る
1.ホテルマン・ホテリエとは
一昔前では、ホテルマンはホテルに従事する男性を指し、ホテリエは男女問わずホテルの経営者や事業家を指す言葉として使われていました。しかし、今では、ホテルに関する業務をする人という意味で「ホテリエ」という言葉が多用されています。(この記事では、以後ホテリエと表記します。)
ホテル組織は宿泊部門、料飲部門、宴会部門、管理・営業部門、調理部門の5部門に分けられていて、ホテリエは、フロントやコンシェルジュ等、接客を担当している職種を指すことが多いです。この記事では、そういった接客担当の仕事内容を紹介します。
ホテリエの中でも、フロント、コンシェルジュ、ベルスタッフ、ドアスタッフ、バトラーなど様々な職種がありますが、小規模なホテルでは、一人が何役もこなすことがあります。
2.ホテリエの仕事内容
ホテリエの仕事内容は、その役割によって異なりますが、一般的に以下のような業務が含まれます。まず、ホテリエの仕事の概要を理解するためにも具体的にどのような仕事があるのか解説します。
フロントデスク業務
ホテルフロントやベルスタッフは、ホテルを訪れたお客様(ゲスト)の第一印象となり、まさにホテルや旅館の顔といえる仕事です。チェックイン・チェックアウト手続き、電話対応や予約の管理、ホテル施設の案内などを行います。フロントは通し勤務が多く基本的に24時間体制なので、日勤や夜勤のシフト制です。
ゲストへのサービス
ゲストの要望や質問に対応し、快適な滞在をサポートすることもホテリエの重要な仕事です。食事やホテル内娯楽施設、アメニティに関する質問・要望、観光案内やレストランの予約、交通手段の手配、ときにはクレーム対応などを行います。大きなホテルではコンシェルジュとしてフロントやロビーに常駐してる場合もあります。
客室の管理
ホテルに欠かせない縁の下の力持ち的存在が清掃スタッフです。客室の清掃やアメニティの補充、設備の動作確認を行い、新しいゲストのためにきれいな部屋を準備します。客室の問題があった場合は修理依頼や部屋の変更等迅速に対応しなければいけません。清掃スタッフは実際に清掃を行う職種と清掃を外部に委託し、その管理や指導を行う職種の2種類存在します。
食事の手配
夕食や朝食の受付やランチ、ディナーの予約をします。アレルギー等もゲストから調理部門に対し、間違いなく連絡しなければなりません。この部分はシェフを筆頭とする調理部門が花形ですが、ホールの管理やレストランの管理などを担当するレストランマネージャーやレストランスタッフも重要なホテリエです。
イベントや会議のサポート
ホテリエにはホテル内で行われるイベントや会議の準備や運営をサポートする職種も存在します。具体的には会場の設営や備品の準備、参加者への案内を行います。特に有名なのがブライダルに関わる職種で、結婚式の準備は長い時間をかけて慎重に行わなければいけません。これらの業務を通じて、ホテリエは宿泊をしないゲストに対しても高品質なサービスを提供し、快適な滞在を実現する責務を担っています。
3.ホテリエの一般的なキャリア
ホテリエのキャリア(フロントの場合)は、一般的に以下のようなステップで進むことが多いです。他の職業のキャリアはそれぞれの職業ごとに詳しく解説した記事がありますので、そちらをご覧ください。
エントリーレベルのポジション
新たに入社したホテリエはまず現場での経験を積みます。ホテルのフロントデスクや客室係などのエントリーレベルのポジションでホテリエとしてのキャリアをスタートします。ここでは、基本的な業務を学びながら経験を積んでいきます。
スーパーバイザーまたはリーダーポジション
経験を積んだ後、フロントオフィスのスーパーバイザーやチームリーダーなど、より責任のあるポジションに昇進することがあります。ここでは、以前の業務に加え、スタッフの指導や管理、業務の効率化などを行います。
マネージャーポジション
さらに経験を積んでリーダーシップスキルを磨いた後、ホテルの各部門のマネージャーに昇進することがあります。フロントオフィスマネージャーや客室部マネージャーなどのポジションが含まれます。ここでは、部門全体の運営や予算管理、ホテリエの指導やトレーニングなどを行います。このあたりになると、転職をして別のホテルのマネージャーポジションにつくといった例が多く見られます。ホテル業界での転職はこのような昇進のための転職が非常に多いです。
部門長や総支配人
最終的には、ホテル全体の運営を管理する役職に昇進することがあります。部門長や総支配人などのポジションがこれに該当します。ここでは、ホテルの戦略的な計画立案や組織全体の運営を担当します。
このように、ホテリエのキャリアは経験と能力に応じて段階的に進んでいきます。継続的な学習や成長、そして業界のトレンドや新技術の習得が重要です。
4.ホテリエの年収や待遇
ホテリエの年収や待遇は、経験や地域、所属するホテルの規模や評価によって異なります。一般的には以下のような平均的な数字が挙げられますが、必ずしも全ての場合に当てはまるわけではありません。
エントリーレベル、スーパーバイザーやリーダーポジションの年収が200〜400万円、マネージャーポジションの年収が400〜600万円、部門長や総支配人の年収が600万円〜が平均的な年収です。求人ボックス給料ナビによるとホテル業界の平均年収は345万円で、他業界に比べて平均年収は高くありません。(日本人全体の平均年収443万円、民間給与実態統計調査による)ただあくまでも、平均の話であり、勤務先や経験、スキルによってばらつきがある業界で、部門長や支配人となれば会社の規模にもよりますが、平均年収1000万円も十分にありえます。
5.ホテリエのキャリアアッププラン
ここまでホテリエの年収や待遇について詳しく解説してきました。先ほど開設した通り、ホテルには様々な職種が存在するため、各々のホテリエがキャリアアップのために採る選択肢は無限大にあります。そこで、ホテリエがどのような順序でキャリアアップをしていくのかについての概要を解説します。これから解説する流れを踏まえ、今後のキャリアプランに必要なことは何か考えてみましょう!
a.経験を積む
まずはエントリーレベルのポジションで経験を積み、ホテル業界での基礎的なスキルや知識を身につけます。フロントデスクや客室清掃、飲食サービスなど、様々な部門での経験が役立ちます。積極的に他部門の人と関わることで、ホテル全体の仕組みを理解できますし、自分と相手の仕事が円滑に進みやすくなり、その分、思考に余裕ができて、ゲストに高品質なサービスを提供できたり、自己成長の時間をつくれたりします。
b.学習と教育
業務を質が高いまま多くこなすためホテル業に関連する専門知識やスキルを習得し、ホテル業界やホスピタリティ管理に関する学位や認定プログラムを取得することが昇進や転職の際に能力の証明となり、非常に重要です。また、TOEICや英検などの外国語試験やコミュニケーションスキルの向上もキャリアアップに役立ちます。
c.昇進を目指す
スーパーバイザーやリーダーとしての経験を積んだ後、マネージャーや部門長のポジションを目指します。経験と仕事の実力、熟練したサービス能力、そして、周囲の人間からの信頼、コミュニケーション能力が必要です。相応の能力を持った人がリーダーに選ばれます。
d.自分の専門にする
特定の分野や部門に専門化し、その分野での専門知識やスキルを磨きます。そうすることで、ホテル業務における自分の価値が上がり、給与や待遇もその価値にあったものに変化していきます。例えば、フロントオフィスマネージャーや客室部長、飲食部門のマネージャーなど、ホテル業界の様々な部門で専門家としての地位を築くことができます。
e.管理職や経営職への進出
最終的には、ホテル全体の運営や管理に関わる役職を目指します。部門長や総支配人などの高位の管理職や経営職に進出するためには、戦略的な思考能力や経営スキルの習得が求められます。
このようなキャリアアッププランを通じて、ホテリエは自身の能力や興味に応じてキャリアを発展させ、業界での成功を目指すことができます。
6.キャリアアップのために求められるスキル
ホテリエとして働く中で求められる役割について解説しました。これらの役割を与えられ、最終的にその道のプロを目指すとなれば様々なスキルが必要となるのは間違いありません。そこで、ホテリエで重要となるスキルについて解説します。特に支配人やその部門のトップともなればこれらのスキルを誰よりも極めていますから、そういった方の対応方法等をまねしながら日々の業務でスキルを磨くことが重要となります。
コミュニケーションスキル
ゲストや社員と円滑にコミュニケーションをとる能力が重要です。ホテリエは明確かつ効果的なコミュニケーションは、サービスの向上やチームワークの促進に役立ちます。
カスタマーサービススキル
高品質な接客サービスを提供する能力が必要です。ゲストの要望や問題に迅速かつ適切に対応し、満足度を向上させることが重要です。
リーダーシップスキル
チームをリードし、指導する能力が必要です。リーダーシップスキルを発展させることで、部下のモチベーションを高め、業務の効率化や成果の向上に貢献します。
問題解決能力
様々な状況や問題に対して柔軟に対応し、解決策を見出す能力が求められます。顧客からのクレームや予期せぬトラブルにも迅速かつ適切に対処できることが重要です。
チームワーク能力
ホテルは多くの部署や職種から成るチームで運営されています。チームメンバーと協力し、協調性を保ちながら業務を遂行する能力が必要です。
組織力と時間管理能力
複数のタスクや責任を同時に管理し、効率的に業務を遂行するための能力が求められます。組織力と時間管理能力を向上させることで、業務の効率化やストレスの軽減につながります。
語学力
海外からのゲストが増えているなかで、語学力は必須スキルと言えます。一流ホテルや外資系ホテルでは必ず必要な能力とも言えます。トラブルが起きたときなどマネージャークラスでは対応を任せられるため、英語だけでも正確でフォーマルな会話力が求められます。これらのスキルを持つことで、ホテリエは自身のキャリアを成功させることができます。
7.まとめ
記事を読むことでホテリエのキャリアについて知ることができたと思います。今回記事で紹介したのは、ホテリエの仕事内容、年収、キャリアプラン、それに必要なスキルでした。具体的にどんな待遇なのかホテリエの求人を見てみましょう!