ホテルバーテンダーの仕事内容や年収は?街中のバーとは何が違うの?
ホテルにバーがあること自体が、そのホテルが格の高いものであることを示していますが、そこに一流のバーテンダーがいることでさらに評価が高まります。本記事では、ホテルバーテンダーの仕事内容、必要なスキル、年収、そしてキャリアアップの方法について詳しく説明します。
記事の目的
ホテルバーテンダーという職種について理解を深める
ホテルバーテンダーとは
バーテンダーには、ホテル内のバーで働くホテルバーテンダーと、街中のバーで働くバーテンダーの2種類があります。仕事内容には大きな違いはありませんが、ホテルにバーが併設されている場合、そのホテルは比較的高級なことが多く、訪れるお客様も社長や役員、実業家などハイクラスな客層が中心です。そのため、バーテンダーには高度な技術力と接客能力が求められます。
ホテルバーテンダーの仕事内容
バーテンダーに憧れたことがある方も多いかもしれませんが、バーテンダーの求人は他の接客業よりも求人数が少なく、具体的な仕事内容を知る機会も少ないでしょう。ここでは、ホテルバーテンダーの具体的な仕事内容を紹介します。
お酒の提供
お酒の提供はバーテンダーとして最も重要な仕事です。数百種類あるお酒を組み合わせて数千種類に及ぶカクテルを、お客様の好みや気分に合わせて絶妙なバランスで作り上げます。カクテルの作り方にはシェイク、ビルド、フロート、ブレンド、ステアなど様々な方法があり、それぞれの技法やお酒の特徴を理解し、使い分ける必要があります。
接客対応
バーテンダーはお酒を提供するだけでなく、お客様との会話を楽しみに来る方や静かにお酒を楽しみたい方など、さまざまなニーズに応じて対応することが求められます。お客様の顔や名前を覚え、次回来店時に好みに合った対応をすることで、店舗の売り上げや評判に大きく貢献します。どんなお客様とも失礼なく会話するためには、豊富な話題と接客マナーが必要です。
仕入れ、仕込み
バーテンダーの仕事は営業だけではありません。開店前には、必要なお酒や材料の仕入れや仕込みを行います。これにより営業中のスムーズな提供が可能になります。また、常連のお客様からの予約がある場合は、いつも注文されるものをスムーズに提供できるように準備をしておき、お客様に喜んでもらえるよう心がけます。
ホテルバーテンダーの給料
ホテルバーテンダーの給料は、ホテルの規模や立地、経験年数などによって異なります。ここでは、一般的な給料の目安とその背景について説明します。
平均給料の目安
日本国内のホテルバーテンダーの給料は、月額20〜35万円程度が一般的です。都市部のラグジュアリーホテルでは高めの給料が支払われる傾向があり、地方の小規模ホテルでは20万円前後になることが多いです。また、役職や経験によっても異なり、チーフバーテンダーなどに昇進すると給料が30万円以上に上がることもあります。さらに、サービス料やチップも収入に含まれることがあり、高級ホテルではチップ収入が大きな割合を占めることもあります。
年収の目安
年間の収入としては、ホテルバーテンダーの平均年収は約300〜500万円です。キャリアを積み、コンテストで実績を上げることで、さらに高い年収を得ることも可能です。また、特別な技術を持つことでイベントやVIPのお客様向けのサービスで収入を増やすこともあります。
手当や福利厚生
ホテルバーテンダーの給料には、基本給のほかに夜勤手当や休日出勤手当、宿泊手当、食事補助などの手当が含まれます。特に深夜勤務が多いため、これらの手当は給料を上げる重要な柱です。また、大手ホテルチェーンでは資格取得支援制度や研修制度が充実しており、スキルアップを通じて給料アップを目指すことが可能です。
キャリアアップと給料向上の可能性
給料を上げるためには、経験に加えてスキルの向上や資格取得が重要です。カクテルコンペティションでの受賞やソムリエ資格の取得はキャリアアップの鍵となります。また、英語力や他の外国語スキルも求められ、国内外様々なお客様に対応できることで昇給やより良い待遇が期待できます。ラグジュアリーホテルや有名ブランドホテルへの転職も給料アップのチャンスです。
ホテルバーテンダーとしてのキャリアは、スキルの向上や経験の積み重ね、そしてお客様とのコミュニケーションを通じて大きく広がります。
ホテルバーテンダーの魅力
ホテルバーテンダーはレストランスタッフの一員として採用されることが多いですが、その仕事内容にはホテルバーテンダーならではの魅力があります。ここでは、ホテルバーテンダーとして働く魅力について詳しく解説します。
お客様の反応を直接確認できる
これはホテルに限らずどのバーテンダーでも言えることですが、自分が作ったカクテルをお客様がその場で飲み、その反応を直接確認することができます。「美味しい!」といったお客様の声を聞くことがやりがいとなりますし、好みに合わなかった場合にはその反応から学ぶこともできます。
多様なお客様と出会える
バーやラウンジには年齢や職業が異なる多くの人が訪れます。さまざまなお客様との出会いを通じて、自分の知識を増やし、幅広い分野での知見を得ることができます。
オリジナルレシピの開発
バーテンダーは数百種類のお酒の味や種類を理解し、数千のレシピを覚える中で、自らオリジナルのカクテルを開発することも可能です。自分で作ったオリジナルカクテルをお客様に楽しんでいただけることはバーテンダーとして大きな喜びと話すバーテンダーが多くいらっしゃいます。
ホテルバーテンダーの大変さ
ホテルバーテンダーの仕事には、大変な面がいくつもありますが、最も大変なこととしてよく挙げられるのが 新規のお客様が多いことや高いサービス基準が求められる点です。街中のバーでは常連客が多く、彼らとの関係を築きやすいのに対し、ホテルのバーでは宿泊客やイベントの参加者など、多くの一見のお客様を相手にすることになります。そのため、 初対面のお客様に対しても迅速に心地よいサービス を提供し、好印象を与えるスキルが必要不可欠です。
また、ホテルのバーは高級ホテルに設置されていることが多く、訪れる客層もビジネスエリートやセレブリティといった ハイクラスの人々 が中心です。彼らは一流のサービスを期待しており、バーテンダーには常に 最高の接客技術や技術力が求められます。
さらに、バーという職業柄深夜勤務がメインとなるため、 体力的な負担も大きいです。勤務時間の大半が22時以降であり、そのため深夜手当が支給されるものの、長時間立ち続けることや、昼夜逆転の生活は体力的に厳しく、 健康管理が重要です。
お客様とのトラブル対応も時に求められます。酔っ払ったお客様への対応や、時には異性との関わり方に気を遣う場面もあり、 精神的なストレス が発生することも少なくありません。
これらの大変さがある一方で、ホテルバーテンダーとしての経験は、通常のバーでは得られない 一流の接客スキルや広い人脈 を構築する大きなチャンスでもあります。
ホテルバーテンダーになるには
ホテルバーテンダーになるには、大きく分けて2つの方法があります。ひとつは専門学校でお酒やサービスに関する知識を学び、ホテルに就職する方法。もうひとつは、未経験でホテルのバーに就職し、現場で技術を身につける方法です。それぞれの方法には異なるメリットとデメリットがあります。
専門学校を利用するパターン
まず、専門学校を利用してホテルバーテンダーを目指す方法です。バーテンダーに特化した専門学校は少ないですが、ホテルやサービス業に関する専門学校の中にはバーテンダーコースを設けているところがあります。このような学校では、お酒の種類やカクテル作り、接客マナーなど、バーテンダーに必要な幅広い知識と技術を体系的に学ぶことができます。
メリット:
- 体系的な知識: お酒の基礎知識からカクテルの作り方、接客技術まで幅広く学ぶことができ、短期間で効率よくスキルを身につけられます。
- サポート体制: 就職サポートが充実しており、提携するホテルや飲食施設への就職をサポートしてくれます。
- 実習やインターン: 実際のホテルやバーでのインターンシップや実習の機会があり、現場での経験を積むことができます。
デメリット:
- コスト: 学費がかかり、金銭的な負担が大きい場合があります。また、長期間の通学が必要なため、早く現場に出て経験を積みたい人には向いていないこともあります。
- 即戦力には限界: 学校で学んだ知識だけでは、現場での即戦力として活躍するには時間がかかることがあります。
下積みを通じて現場で学ぶパターン
もうひとつは、未経験の状態でホテルのバーに就職し、現場で技術を習得する方法です。この方法では、先輩バーテンダーから直接技術を学びながら、徐々にスキルを磨いていきます。
メリット:
- 実践的な経験: 現場で働きながら技術を習得できるため、実際にお客様と接しながら接客スキルやカクテル作りの技術を学ぶことができます。
- 収入を得ながら学べる: 下積み期間中でも収入を得られるため、学費が不要で、早く社会に出て働きたい人に適しています。
- キャリアパス: 現場での経験が昇進やキャリアアップの際に大きなアドバンテージとなります。
デメリット:
- 時間がかかる: 一人前のバーテンダーになるまでに時間がかかることがあり、最初は雑務が多いこともあります。
- 環境に依存: 指導してくれる先輩や職場の環境により、学べるスキルや成長スピードが異なることがあります。
ホテルバーテンダーになるには、専門学校で体系的に学ぶ方法と、現場で下積みをしながら技術を身につける方法があります。自分のキャリアビジョンやライフスタイルに合わせてどちらの方法が適しているかを選ぶことが重要です。専門学校を利用して確実にスキルを学びたい方には専門学校が適していますが、早く現場に出て実践を積みたい方には下積みが向いています。
どちらの道を選んでも、技術と知識を磨き、経験を積むことで、ホテルバーテンダーとして確実にキャリアを築くことができます。
ホテルバーテンダーになるために必要な資格
ホテルバーテンダーになるために取得しなければならない国家資格はありません。しかし、いくつかの民間資格があり、特にラグジュアリーホテルでは取得が求められることがあります。ホテルの募集要項を確認することが重要です。一例として、日本バーテンダー協会の「NBA認定バーテンダー」や一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会の「HBAバーテンダー」があり、これらの資格はバーテンダーとしての基礎知識を証明します。
ホテルバーテンダーになるために必要なスキル
お酒の知識
カクテルのレシピや、その材料となるお酒の知識はバーテンダーとして働く上で必須の知識です。その知識は専門学校で学んだり独学で学ぶことができます。 一部ではバーテンダーを対象とした勉強会なども開催されているそうです。
知識に関して、実際に働いてみてから知る情報も多くあります。そのため、働きながらも日々レベルアップのために努力する必要があります。
オリジナリティ
前述したようにバーテンダーはオリジナルレシピを作ることがあります。数百あるお酒の中で自分で組み合わせや分量を考え、自分の美味しいと思う組み合わせを想像してオリジナルレシピを作ります。他では楽しめない自分だけのメニューを作ることができたら、自分の常連のお客様を増やすことができます。
コミュニケーション能力
お客様と会話することはバーテンダーの中でもかなり重要な仕事です。
バーテンダーと会話をしながら楽しくお酒が飲みたいお客様も少なくなく、お客様との会話やコミュニケーションはお客様に喜んでいただくためにも必要です。その日のお客様の気分を理解して話を聞いたり、時にはお客様を励ますこともあるでしょう。そういったコミュニケーション能力は必ず必要になります。
体力
バーテンダーの仕事は、基本立ち仕事で業務時間も基本夕方〜深夜です。そのため生活が昼夜逆転してしまうことは避けられません。また、お客さんとのコミュニケーションの中で一緒にお酒を飲むことを誘われたり、仕事中にお酒を飲むタイミングもあるため、かなり体力を消費する仕事です。そのため夜でも働ける体力は必須です。
お酒に強い
バーテンダーはお酒好きな人が向いています。当たり前かもしれませんが、バーテンダーはお酒を飲むタイミングが多くあり、勉強のために飲む、メニュー開発のために飲む、お付き合いでお客様と一緒に飲むなどお酒を飲むタイミングが多くあります。お酒が好きであればその過程も楽しめる仕事です。
ホテルバーテンダーの特徴について
ここまでバーテンダー全般についての仕事内容や魅力について紹介しました。ではホテルバーテンダーと個人店のバーテンダーではどのような違いがあるのでしょうか?街中のバーテンダーとは違う点をいくつか紹介します。
客層がハイクラス
バーラウンジを持つホテルは、一定の格式を有していることがほとんどであり、そこを利用するお客さんもそれに伴い一定のハイクラスであるので普段の生活ではなかなか会うことのできない一流企業の社長や役員、有名人、海外セレブなどのすごい肩書きの人と会うことができます。
求められる対応レベルが高い
前述しているようにホテルバーには普段の生活ではなかなか会うことのできないクラスの方々を相手に接客することができる反面それに見合った接客をする必要があり、ハイレベルな接客スキルや、丁寧な言葉遣いが街中のバーよりも多く必要になります。
初任給が高め
ホテルバーはホテル内にあるため、ホテルバーテンダーもホテルの立派なスタッフ(ホテリエ)であるため給与携帯もホテルに準ずる形で支給されます。
一般的なバーテンダーの初任給よりも、ホテルバーテンダーの初任給の方が高額なケースが多く、バーやラウンジを有しているホテルは高級ホテルである場合が多いため、休暇制度や、ホテル独自の充実した福利厚生なども安定しています。
ホテルバーテンダーに向いている人
どのような人がホテルバーテンダーに向いているのか紹介します。
コミュニケーションをとることが好きな人
人と話すことが得意な人や、様々な人と関わることが好きな人は働きやすい環境であると言えます。前述しているように、バーテンダーは会話をすることが必要になる仕事なのでコミュニケーションが得意な人が向いている職業だと言えます。
昼夜逆転の生活ができる人
バーは基本夜が仕事のメイン時間であるため仕事の開始時間は夕方で仕事の終了時間は深夜であるので昼夜逆転の生活になってしまうことは免れません。そのため昼夜逆転が苦手な方や、深夜まで動き続けることが苦手な方には負担が大きいです。
お酒が好きな人
バーテンダーはお酒を扱う仕事であり、お酒に関する勉強や新メニューの研究などお酒に対する興味関心があれば、勉強や研究を苦に感じることなく楽しく仕事をすることができます。
また、仕事中お客様にお酒をご馳走してもらいお客様とお酒を飲む機会にも、お酒を飲むことを苦に思わず楽しくお客様との仕事を楽しめるでしょう。
ホテルバーテンダーのキャリア
ホテルバーテンダーにとって、自分のバーを持つことは大きな夢の一つです。独立すれば、自分の理想のお店を作り上げることができ、経営者として高収入を得るチャンスもあります。
バーは他の飲食業態に比べて開業資金が少なく、比較的開業しやすい一方で、ライバルも多いのが現状です。そのため、一流ホテルで技術を磨くことは、独立時に大きな強みとなります。
ホテルバーテンダーとしてのキャリアアップには、チーフバーテンダーやバーのマネージャーなど、責任のある役職への昇進が含まれます。これにより、ホテル全体のサービス向上に貢献しながら、給与や待遇も向上します。
また、バーテンダーとしてのスキルを活かし、カクテルコンペティションへの参加や、講師活動、企業向けのコンサルティングなど、新たなキャリアの道も広がります。特に国際的なホテルチェーンで経験を積むことで、海外でのキャリアも視野に入れることができます。
ホテルバーテンダーとしてのキャリアにはさまざまな選択肢があり、スキルと情熱を活かして未来を切り開くことができます。独立を目指すか、ホテル内でキャリアを積むか、いずれの場合も、技術と経験を深め続けることが成功の鍵です。
まとめ
ホテルの一員として、最高の体験をお客様に提供することができるホテルバーテンダーは、他では味わえない特別な経験を得られる職業です。
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