ホテル業界の業務内容の多くは、ゲストをもてなすサービス業のイメージが強いですが、ホテルも一つの会社であり、営業職が存在します。そんな営業職の業務内容や、魅力、キャリア、年収、転職など気になるあれこれを紹介します。
記事の目的
ホテル営業職について理解する
1.ホテル営業職の仕事内容
ホテル営業職は他の業種がゲストへのサービスをするためにあるのに対し、営業職は法人を相手にし、ゲストを増やす・ホテルの売り上げを伸ばすことをするための仕事です。つまり、ゲストがホテルを利用するきっかけを作るのがホテル営業職です。具体的にはどのような仕事があるのでしょうか?
旅行代理店への営業
営業職のメインの仕事は、旅行代理店への営業です。新たな企画を立案し、それを旅行代理店に売り込み多くのゲストを獲得することを目指します。ホテルと新幹線や、飛行機などの公共交通機関を利用し割安に旅行できるプランなど他企業と協力してプランを組み立てる場合もあります。また、出張の多い一般企業向けに値引きや特別なサービスをつけたプランを企画し、売り込むこともあります。
新プランの企画
前述したように旅行代理店には新たなプランを提示します。その新たな企画プランを考えることも大切な仕事です。その中でも時代に対応したプラン企画は重要です。現代では電話でホテルに直接連絡し予約することは少なく、他社予約サイトや、アプリを通しての予約がほとんどです。その中でサイトやアプリを通して予約した場合には割安になるなどの企画をします。また、アプリや、サイトを利用して予約をしてもらえれば、フロントスタッフが電話で対応する仕事も減り、現場の負担軽減にも繋がります。
企業への営業
付き合いのある企業に対して、社員旅行、研修、宴会利用や企業パーティーなどの利用してもらえるように付き合いをよくすることも大切な仕事です。例を取り上げると、一流日系ホテル:帝国ホテルでは、宿泊部門の売り上げは全体の25%でレストラン部門20%、宴会部門30%と、ここから分かるように売り上げ全体の75%は、宿泊部門以外での売り上げです。そのため企業への宴会やパーティー利用への促進は重要な業務です。
(※引用:帝国ホテル公式サイト)
VIP対応
国内外からVIPを受け入れる時には、数ヶ月前から連絡を取り合い、コミュニケーションを取り準備を整えます。国外からのVIPの場合には相手の国の宗教や文化を理解し食べ物など様々な部分で失礼のないようプランを組みます。
販促業務
販促業務に関してはホテル規模にもよりますが、営業担当が任される場合もあります。販促業務ではSNS運用、ホームページ管理、旅行代理店サイトに出している内容の更新などがあります。
2.やりがいや魅力
ホテルの営業職の仕事内容について解説しました。企業や旅行代理店への営業はご存知の方も多いですが、VIP対応などはあまり知られていない仕事内容かもしれませんね。それでは、この仕事をするやりがいや魅力はどのようなものがあるのでしょうか?
ホテルとゲストの架け橋になることができる
ホテル営業職の一番のやりがいは、ホテルの利用者が増えることで売り上げへの貢献が実感できることです。コロナ禍が終わり、ホテルの数はこれから増加していくとされています。すなわち、それはホテルにとっては競合が増えることを意味します。しかし、その中でも自分の働いているホテルの魅力などを伝え、多くの人に利用してもらえる喜びは大きいでしょう。
大きな仕事に関われる
ホテルの規模によっては商品発表会や、財界人、芸能人の結婚式やパーティーなどの大きな仕事に関わることができます。企業の発表や、財界人、芸能人に大切な時に利用してもらうためには普段からの付き合いが重要になります。
ノルマがある
もちろんこれはホテルごとに違うことではありますが、月ごとの目標が設定されその目標が達成できるかどうかが評価の対象になります。ノルマ自体は個人レベルで振られることが多く、同僚はライバルという関係になります。競い合うことが苦手な人には精神的な負担が大きいでしょう。
契約したら終わりではない
営業として契約を取り、それで仕事が終わるわけではなくそのイベントやプランを成功させるところまでが仕事です。そのためには、ホテル内の多くの業種のスタッフと打ち合わせをかわし、当日まで円滑にイベントやプランが進むようにそれぞれの進行状況などを管理する必要があるため、多くの労力を要します。
ゲスト目線と経営目線の二つの目線が必要になる
ホテルのサービスに関わる職種の方は常にゲスト目線で仕事をすればいいのですが、営業職はゲスト目線と経営目線の二つの目線が必要になります。ゲストが利用したいと思うようなプランを考えなくてはならないですが、その時に経営的な面も必要になります。
例えば、極端な例ではありますが、通常一泊3万円のプランを、2000円で利用できるプランを考えた時に、ゲスト目線ではとても嬉しいプランであることは間違いないです。しかしビジネスとしては崩壊してしまいます。二つの目線を持って両方が満足できることを考えることが大切です。
これらはホテルの営業職だけに言えることではなく、全業種の営業職に言えることです。元々他業種で営業職をやっていた人にとってホテル業界で営業を始めるにあたって新たに出てくる仕事はありません。
3.必要なスキル
ホテル業界の営業職についての仕事内容や魅力について解説しました。ではこれらの仕事をするにあたってどのようなスキルが必要なのでしょうか?詳しく解説します!
提案力
前述したようにただプランを考えればいいだけでなく、ゲストとホテル両方の利益最大化できるものを考え提案する必要があります。これはホテル業界に限らず営業全体で言えることかもしれません。相手に提案を飲んでもらうためには相手が享受できるメリットを的確に見つけ出し、言語化する必要があります。ここまで考えてて案ができる人こそ契約を勝ち取れる人となるでしょう。
コミュニケーション能力
営業職はどんな業界でもコミュニケーション能力が必要になります。その中でもホテルでは人脈や、繋がりがとても重要な業界であり、コミュニケーション能力が向上すれば新規顧客の獲得や、VIP誘致など大きな成果を上げることができるでしょう。
ホスピタリティ
ホテル営業職は仕事内容は営業活動でありますが、ホテル業界で働く人(ホテリエ)であることには変わりありません。そのためお客様一人一人のゲストに満足していただくための丁寧な接客も忘れてはなりません。
4.ホテル営業職の待遇
ホテル営業職の待遇はどういうものなのでしょうか?営業と言えども立派なホテリエの一員です。ホテルならではの福利厚生もいくつかあり、必見です!
年収
一般的にホテル営業職の年収は300万円前後とされており決して多いとは言えません。しかし、ホテル業界は旅行者の人数によって収入が大きく左右する業界です。コロナも落ち着きインバウンド数がコロナ前まで近づき旅行者が増えている今、収入が上がる可能性は大いにあると考えられます。
また、管理職などキャリアアップをすると年収も600万円を超える場合もあります。ホテル業界の年収はホテルの規模にも大きく左右されるため、外資系ホテルや、一流日系ホテルの年収は高い傾向にあります。
福利厚生
年収の平均は一般的には低いとされていますが、福利厚生の面に関しては充実しているホテルが多く、社会保険、深夜手当、退職金、交通費はもちろん、ホテルならではの福利厚生として社員寮、宿泊料の割引、資格手当などがあります。また、ダイビングなどのアクティビティを行っているホテルであれば、営業時間外にそのアクティビティを楽しめるといったものもあるようです。
ホテル業界の多くの職種は休日が土日でないことが多く、シフト制で週休二日という場合が多いです。しかし、営業職の一番大きな仕事は旅行会社など企業に対する営業のため土日休みの場合も多いです。もちろん仕事内容によって土日休みでない場合もありますが、ホテル業界の他の職種に比べると土日休みは多くあります。
6.ホテル営業職のなり方
ここまでホテル営業職の記事を読んで、読んでホテルで営業の仕事をしてみたい!と感じた方も多いと思います。具体的にホテルの営業職にはどのようになるのでしょうか?大きく分けて2通りありますので、詳しく解説します。
高校卒業、大学卒業後就職する
ホテル業界は職種に関わらず高卒でも積極的に採用しているホテルが多くあります。しかし、初任給などに若干の違いや営業部に配属されるまでの時間には違いがあります。営業職を希望し、ホテル業界に入社してもほとんどの場合最初から営業職につけないことが多く、宿泊部や宴会部などの現場の仕事に配属される場合もあります。しかし、前述しているように、営業職は現場との関わりが非常に重要になります。そのため現場の仕事を知っておくことは営業職に就いた時に大きな武器にすることができます
他業界からのホテル転職
転職の場合、求人自体が職種・ポジションで募集している場合が多いです。そのため、営業以外の職を経験することなく営業職につくことができます。他業界で営業職を経験し、ホテル業界に興味のある方は即戦力として期待され、良い条件で働ける可能性も十分考えられます。ホテル営業に興味がる方はまず申し込みをして第一歩を踏み出すことが大事です。
7.まとめ
ホテル営業職はホテルの中でゲストに関わる機会は多くはないものの、ホテルを利用してもらうには欠かせない仕事であり、日々ゲストが笑顔になれるようなプランやサービスを考えそれを世の中に広めるための大切な仕事です。ホテル業界への転職に関しても営業職は他の業界の営業職と仕事内容はにており、新たにホテル業界に入っても馴染みやすく働きやすいと考えらえれます。