ホテリエなら誰もが一度は憧れる支配人。この記事ではホテル支配人の仕事内容や、給料、どのようなキャリアを積めば支配人になれるのかを解説しています。この記事を読むことで支配人の仕事について概要を理解することができます！
記事の目的
ホテル支配人という職種について理解を深める
1.ホテル支配人とは？
ホテル支配人とはホテル組織の中における最高責任者です。GM（ジェネラルマネージャー）とも呼ばれたりします。ホテルの組織は、支配人をトップにフロントやベルパーソンが所属する宿泊部門、ウェイターやルームサービスをする料飲部門、宴会やブライダル等のイベントサービスを行う宴会部門、人事、経理、営業、広報などをする管理・営業部門、料理を任されている調理部門と5つの部門に分かれています。それぞれの部長たちをまとめているのが、ホテルの支配人です。非常に責任のある重要な仕事と言えます。
2.ホテル支配人の仕事内容
ホテル支配人は、大きく分けて3つの業務をしています。ホテルの経営、ホテリエのマネジメント、接客対応です。それぞれどんな仕事をしているのか詳しく紹介します。
ホテルの経営・業績管理
ホテルの支配人は言い換えるとホテル経営者であり、ホテルのビジョンと長期的な目標を明確にして、それらを達成するための戦略を策定する必要があります。
ホテルの運営資金を確保し、予算を適切に管理し、収益と費用のバランスを取りながら、利益を確保します。
ホテリエのマネジメント
支配人は全部門のトップですから、ホテリエの管理も業務の一つです。人事、シフト管理、一人一人の教育指導やモチベーション管理を行います。今挙げた仕事を直接支配人が指示するだけでなく、各部門のリーダーを指導し、どのようなホテルを目指していくのか認識を一致させることも支配人の仕事です。したがって支配人は多くのホテリエから信頼されるような人になって初めてホテリエのマネジメントが可能となります。
接客対応（主にVIPやお得意様）
接客対応は支配人という立場でももちろん必要です。客席の見回りをしているときに、お客様から声をかけられたり、トラブルがあれば、対応するのは支配人です。VIPやお得意様はホテルの売上を上げるために重要なゲストです。心地よくいてもらうために支配人自らがでていき、接客対応をします。VIPの対応をするからには支配人はホテルでトップクラスの接客能力を持ったホテリエでなければなりません。
3.ホテル支配人の一日のスケジュール
ここまでホテル支配人がどのような業務を行うのかについて解説しました。では、実際に支配人となった場合どのような順序で業務をこなしていくのでしょうか？ホテルの支配人の一日のスケジュールは、様々な業務や状況によって異なりますが、一般的なスケジュールの例を紹介します。
朝
朝礼とスタッフミーティング
朝の始まりに、スタッフ全体が集まり、日々の業務や特筆すべき事柄について話し合います。支配人はスタッフに対して指示や注意事項の確認を行います。
施設巡回
ホテルの施設を巡回し、清掃状況や設備の動作状況を確認します。ゲストの目線で施設をチェックし、改善点や修復すべき箇所を見つけます。
ゲストの対応
朝食時にお客様と接し、フィードバックを受けたり、特別な要望に対応したりします。また、ゲストのチェックアウト手続きや問い合わせに応じます。
昼
会議や業務処理
午前中に発生した問題や業務処理を行います。部署長やスーパーバイザーとの会議を行い、施設管理やサービスの向上策を検討します。
予算管理
ホテルの予算管理を行います。収支の確認や予算の見直し、必要に応じてコスト削減策を検討します。
販売戦略の確認
宿泊率や売上の状況を確認し、必要に応じて販売戦略の調整を行います。特別なイベントやキャンペーンの企画や実施も行います。
夕方
チェックインのピーク時にゲストと接し、滞在中の問題解決や特別な要望に対応します。満足度の向上を図ります。
ホテリエの指導とトレーニング
スタッフの業務指導やトレーニングを行います。サービスの向上や問題解決能力の向上を目指します。
施設点検
夜間の安全を確保するために、施設の点検を行います。消防設備やセキュリティシステムの動作確認を行い、必要に応じて修復や改善を行います。
夜
日報作成
当日の業務や問題点、ゲストのフィードバックなどをまとめて日報を作成します。上層部や関係者に報告します。
翌日の準備
翌日の業務や予定を確認し、準備を行います。特に、予約の状況や宿泊施設の準備状況を確認し、必要な対策を取ります。
以上が一般的なホテルの支配人の一日のスケジュールの概要ですが、状況によって変化することがあります。時には緊急の対応が必要な場合もありますので、柔軟な対応が求められます。
4.ホテル支配人の年収
ホテル支配人の年収は、ホテル支配人の求人サイトから参照すると500万円から700万円が多いようです。これは一般企業の管理職の年収と同程度です。外資系ホテルや高級ホテルになると1,000万円以上になることもあります。ホテルマンの平均が300万円程度ですので、高い給与と言えます。支配人ともなると、仕事内容はお客様との接客対応は少なくなり、業績管理やスタッフ管理、企画決定の多くの判断を任せられるものです。その責任に伴った給与になります。
5.必要な資格
ホテリエとしてキャリアを追求するためには、特定の資格や認定が必須というわけではありませんが、転職でアピールする際に、自身の能力の証明をすることができます。以下にホテル業界で有用な資格や学位の例を紹介します。
ホスピタリティ関連の認定
ホスピタリティ業界の組織や団体が提供する資格や認定を取得することも有益です。ホテリエのための資格には、次のような民間試験があります。
ホテル実務技能認定試験
ホテル実務技能認定試験はホテリエとしての接客や食品生成管理のような最低限の技能を身につけていることを証明することができます。
ホテルビジネス実務検定試験
ホテルビジネス実務検定試験は、マーケティングや会計など、ホテル支配人に必要な能力の試験です。
TOIECや英検などの言語能力試験
ホテル業界では国内外様々なお客様とのコミュニケーションが頻繁に行われるため、第二言語の習得が役立ちます。特に英語は海外からのゲストを迎えるホテルで必須とされることが多いですが、現地の言語や他の外国語も有用です。
ホテルマネジメント学位
大学や専門学校でホテルマネジメントやホスピタリティマネジメントの学位を取得することは、ホテル業界でのキャリアをスタートするための有力な道です。これらの学位プログラムは、ホテル運営、接客サービス、経営管理などの専門知識を提供してくれます。
6.必要な能力
ここまで読むと支配人はさまざまな仕事があり、幅が広いことが分かります。では、これらの仕事をこなせるようになるためにはどのような能力が必要なのでしょうか？ホテル支配人として成功するために必要な能力をいくつか紹介します。
マネジメント能力
マネジメント能力は支配人という立場では必要不可欠です。支配人の仕事でホテリエのマネジメントは最重要項目です。支配人がマネジメント能力を持ち合わせていないとどうなってしまうでしょうか。現場が混乱し、ホテリエが業務に集中できなくなります。そしてサービスに影響がでてトラブルが発生してしまいます。ホテリエも取引先に対しても円滑に動くことができず、ホテルの経営が上手く行かなくなってしまいます。ホテル支配人はそれほどマネジメント能力の必要な立場にいるということです。
コミュニケーションスキル
ホテル支配人にとってコミュニケーション能力は、情報の明確な伝達や関係構築、チームの指導に必要です。支配人は、部下や上司、お客様、株主や取引先などとの円滑なコミュニケーションを通じて、業務を効率的に進め、問題を解決しなければいけません。もしも円滑にコミュニケーションを取れなければ、様々な仕事相手と齟齬が生じ、サービスに問題が起き、ホテルの運営は立ち行かなくなります。言ってみれば支配人は人に指示する立場であるので、その相手の能力を引き出したり、モチベーションを保つのは支配人の仕事であると言えます。
問題解決能力
問題解決能力は、ホテル支配人にとって非常に重要なスキルです。ホテル業界では、さまざまな種類の問題や課題が日常的に発生します。これらの問題は、ゲストの不満やサービスの品質低下、ホテリエ間の衝突、予算超過などの形で現れることがあります。ホテル支配人は、これらの問題に迅速かつ効果的に対処する能力が求められます。問題解決能力とは、分析力、論理的思考力、決断力、コミュニケーション能力、継続力などすべてが重要な要素で、これらを発揮することで、ホテルの運営におけるさまざまな課題に対処し、継続的な解決策を見つけることができます。
組織力と計画能力
組織力、計画能力はマネジメント能力に似ていますが、もう少し視野を広げた部分の能力です。組織力は、多くの業務やプロジェクトを大勢のホテリエたちの能力を加味しながら調整し、優先順位を設定する能力を指します。計画能力は、リソースの適切な配分やスケジュール管理、目標設定、危機管理などに関連し、組織の長期的な目標達成に重要です。ホテル業界では、ゲストのニーズや競合状況が常に変化しているため、柔軟性と対応力も重要です。支配人は、多くの場合、予期せぬ問題に対処しなければならず、素早く対応し解決策を見つける能力も求められます。組織力と計画能力を持つ支配人は、効率的なチームの運営やスムーズな業務の進行、そして満足度の向上に貢献します。
業界知識と経験
ホテル支配人には、ホテル業界に関する豊富な知識と経験が求められます。業界のトレンドや業界標準の手法に対する理解を持ち、競合ホテルの状況なども加味しながら、適切な戦略を立案するために深い業界知識が不可欠です。それらをホテルの運営に活かさないといけません。経験は実践的な知識や洞察を提供し、問題解決能力や。また、ホテルの運営に関する実務経験は、実際の状況に適切に対応するために必要です。
経営能力
ホテル支配人は業績管理や営業戦略、企画など経営に関する業務に携わります。経営能力は、組織全体の運営や経営戦略を策定し、実行する能力を指します。経営能力は、組織のビジョンや目標を達成するために必要なリーダーシップ、戦略立案、意思決定、組織管理などの能力を含んでいます。
7.ホテル支配人のやりがい
ホテル支配人の仕事にはたくさんの魅力があります。重要な判断を任されたり、自分が考えたようにホテル全体を動かすことができます。具体的にどんなやりがいがあるのか考えてみましょう。
ゲストの満足感の向上
ホテル支配人は、ゲストが満足し、快適に滞在できるように努めます。ゲストからの良いレビューやフィードバックを受け取ったときに、その努力が報われる喜びを感じることができます。
チームの育成と成功
ホテル支配人は、スタッフを指導し、育成する責任があります。チームが成長し、成功を収める際には、その過程での自身の成長に満足感を覚えることができます。
挑戦と成長
ホテル支配人の仕事には多くの挑戦があります。業界の変化や新しい課題に直面することで、自身の能力やスキルを試し、成長する機会が得られます。
ホテルの運営と成果の見える化
ホテル支配人は、ホテルの運営全般に責任を持ちます。効果的な運営や改善策の実施により、結果としてホテルの収益や評判が向上することを見ることができます。
地域社会への貢献
ホテルはその地域に来た人の拠点となるため、地域社会において重要な存在です。ホテル支配人は、地域社会への関与を通じて地域を盛り上げることができます。ホテルが観光資源を活用し、伝統文化体験や地元食材を活用した料理体験など、地域の魅力を訪れるお客様に提供することで、地域経済や地域の文化振興に貢献している例もあります。
これらのやりがいは、ホテル支配人の仕事が多様で充実していることを示しています。結果的に、ホテル支配人は、ゲストやホテリエ、組織全体に良い影響を与えることで、自身の達成感と満足感を高めることができます。
8.ホテル支配人の大変なところ
ホテル支配人は他業界でいう社長です。組織のトップとして、ホテルの支配人は多くのやりがいを得られると同時に、大変な部分もあります。具体的にどのようなことが大変なのか紹介します。
多忙なスケジュール
ホテル支配人は、上記の章で書いた通り、さまざまな業務や責任を同時に管理する必要があります。予約の管理、サービス、スタッフの指導、施設のメンテナンスなど、多岐にわたる業務を同時にこなさなければなりません。
トラブルの解決
ホテル支配人は、時には難しい顧客や問題に直面することがあります。不満を持ったお客様や予期せぬトラブルが発生した場合、冷静に対応し、適切な解決策を見つける必要があります。
競争の激化と市場の変化
ホテル業界は競争が激しく、市場の変化に敏感であるため、常に最新のトレンドや競合他社との差別化を考える必要があります。
人材管理とチームの調整
ホテル支配人は、多様な職種のホテリエとチームを管理し、調整する必要があります。人材のトレーニング、スケジュールの管理、モチベーションの向上など、様々な人材管理の課題に直面することがあります。
ホテル支配人の仕事はこれらの大変な側面もある仕事ですが、非常に充実感ややりがいを感じることができる職業でもあります。組織やチームの成功に貢献し、お客様に良い経験を提供することで、自身の役割や責任を満たすことができます。
9.ホテル支配人に向いている人
リーダーシップのある人、責任感の強い人
ホテル支配人は、管理職です。スタッフを管理する立場にあるので人望や人を動かす力が必要です。リーダーシップのある人ならホテル全体での意識の共有ができ、仕事がしやすく、ホテル全体のサービス向上に繋がります。
冷静に分析し、決断をできる人
ホテル支配人は多くの判断をせまられる仕事です。ホテル組織のトップですので、支配人の決断がホテル全体の決断となります。その多くの問題に対し、冷静に分析し、正しい選択をできる能力が求められます。
ホスピタリティ精神のある人
ホテル業のやりがいは顧客を満足させることが根本にあります。ホテル支配人の仕事は直接一人のお客様を満足させることからホテル全体のお客様を満足させる仕事に変化します。ホスピタリティ精神のある人は、その部分に大きなやりがいを感じて、仕事のモチベーションになることでしょう。
10.ホテル支配人になるためには
ここまでホテル支配人の仕事内容や一日のスケジュールについて解説しました。次はすでにホテリエとして一定の経験を積んできた方に向けて支配人になるための方法を紹介します。大きく3通りの方法があります。
ホテル内での昇進
他業界で社長になるためには、組織の中で昇進を重ねるのが一般的です。ホテリエにおける社長は支配人と言っても過言ではありません。昇進を重ねた末に支配人になることができます。しかし、ホテル業界では職位が高くなるほど組織内での入れ替わりが少なくなっていく傾向があります。そのため、他業界ではこの方法が一般的でも、ホテル業界ではかなりマイナーな方法となります。
他ホテルからのヘッドハンティング
これは他のホテルで実力があるホテリエを支配人として相応の待遇を用意して迎えるというものです。新たにホテルを開業する場合に多くとられる方法です。ホテル業界はホテリエ同士で交流する機会が非常に多く、横のつながりが強い世界です。その為、実力があり、適切に評価されていれば、周辺のホテルで優秀なホテリエとして名が知れることになります。すると、その地域で新たに参入するホテルがあると、その地域に詳しく優秀なホテリエということで支配人の声がかけられます。ホテリエとして技術を磨くだけでなく、交流を積極的に行い、顔を広くしておくことがこの方法で支配人になる有効な手段です。
転職で支配人になる
最後は転職で支配人になる方法です。in the HOTELのような転職サイトでは支配人や副支配人の求人が掲載されることが多いです。ここに応募し、これまでの実績や持っている能力をアピールすることで支配人として迎えられることがあります。この方法もヘッドハンティング同様新たにホテルが開業する際に用いられることが多いです。特に、運営会社が開業する地域にあまりコネクションがない場合に募集が行われることが多く、やはり優秀かつ地域に精通している人が選ばれることが多いです。この場合もヘッドハンティング同様、ホテリエとして技術を磨くだけでなく、交流を積極的に行い、顔を広くしておくことが採用のカギとなります。
11.まとめ
みなさん、ホテルの支配人はどんなことをしているのか、概要は理解できたのではないでしょうか。ホテル支配人について解像度が上がったところで、当サイト「in the HOTEL」ではホテル関連の求人を掲載しています。具体的にはどんな求人があるのかぜひ一度、見てみましょう！
