ホテルのパティシエとは?仕事内容や必要な資格を紹介!

パティシエと聞くと小さい頃からの憧れだった!という方も多くいるのではないでしょうか?この記事ではホテルパティシエの仕事内容や、給料、どのようなキャリアを積めばパティシエになれるのかを解説しています。この記事を読むことでパティシエという職業の魅力に気付けるはずです!

記事の目的
パティシエという職種について理解を深める。

1.ホテルのパティシエとは

ホテルのパティシエは、ホテル内のレストランやカフェ、または宴会場などで、スイーツやデザート、パン、ケーキなどの菓子類を製造する専門家です。一般にペストリー部門と呼ばれています。パティシエの役割は、美味しい料理やデザートを提供するだけでなく、ホテルのブランドやイメージを高め、お客様(ゲスト)の満足度を向上させることに強く関係している重要な職業です。

2.ホテルのパティシエの仕事内容

スイーツやデザートの製造

パティシエは、ほかには無い魅力的なスイーツやデザートを製造します。スイーツは誕生日やクリスマス、アフタヌーンティーなど食事の中でも特別な経験を提供する際に出されることが多く、その責任は重大です。ケーキ、タルト、プリン、アイスクリーム、チョコレートなど、さまざまな種類の菓子類を作らなければならないので、食材や洋菓子、和菓子、幅広い調理に関する知識や技術が必要です。

メニュー開発

パティシエは、ホテルのレストランやカフェのメニュー開発にも参加します。季節ごとの特別なデザートやイベントに合わせた美味しく美しく、決められた予算内で、製造が一定容易な菓子類を提案し、メニューをバラエティ豊かにすることで、ゲストの興味を引き、ホテルの魅力を高めます。

食材の選定と調達

パティシエは、高品質の食材を選定し、調達する責任があります。食材に対する豊富な知識と、仕入先との交渉力が必要です。新鮮なフルーツやチョコレート、バター、卵などの素材を使用して、美味しい菓子類を製造します。この仕事は普段から様々な食材とふれあい、常にアンテナを張ることが求められるので非常に大変なのではないでしょうか。

衛生管理

パティシエは、厨房の衛生管理や安全基準を遵守する責任があります。特に食品衛生法などの法令で決められた基準を満たすようにマネジメントすることはパティシエとして重要な仕事の一つです。ゲストに健康被害を出してしまうことがあってはなりません。ホテル全体の信用を守るためにも、衛生的な作業環境を維持し、食品の安全性を確保することが非常に重要です。

3.ホテルパティシエの1日のスケジュール

”ホテル”パティシエといえど専門性の高い職業ですから、業務内容もスケジュールも配属先によって様々です。しかし、上記の業務内容を具体的にどのようにこなしているのか気になる方も多いのではないでしょうか。一般的なホテルパティシエの1日のスケジュールを確認してみましょう。

午前

朝早くに到着し、その日の仕込みと準備を行います。ケーキの生地作りや焼き上げ、クリームやソースの調理、フルーツのカットなどをしておきます。次に朝食の準備をします。朝食ビュッフェやレストラン向けに、朝食用のパティスリー、アイテムを準備をします。パン類や朝食用デザートです。レストランやカフェ向けに日中の注文品を準備します。ランチやブランチ向けのデザートやスイーツmアフタヌーンティー向けのセットやスコーンなどが含まれています。

午後

ランチタイムに向けて、ランチ用のデザートやパティスリー向けのアイテムを準備します。デザートやパティスリーアイテムの仕込みや補充を行います。新しいデザートの試作や、材料の補充などが含まれます。

夕方・夜

ディナーに向けて夕食用のデザートを用意します。

レストランやパティスリーの締め作業を行います。清掃、食材の整理、機器のメンテナンスをします。翌日のために必要な仕込みや準備をしておきます。生地の発酵、シロップやソースの調理、フルーツの下処理などを行います。

4.ホテルパティシエの年収

ホテルのパティシエと洋菓子店のパティシエの年収にはいくつかの違いがありますが、働く環境や組織の規模、地域、経験レベルなどによって異なります。

ホテルのパティシエの年収は、洋菓子店のパティシエよりも高い傾向があります。これは、ホテルのパティシエが大規模な施設で働き、多くのゲストやイベントに向けて製品を提供する必要があるためです。また、ホテルのパティシエには、料理人や他のスタッフとの連携やチームリーダーシップなど、さまざまな責任が課せられることがあります。求人ボックスによるとパティシエの平均年収は374万円。日本全体の平均が474万円と比較して、給与は低いです。しかしながらパティシエの年収は、職場によって大きく異なるようで、ばらつきがあります。

洋菓子店のパティシエは、比較的小規模な店舗で働き、より限定された需要に応じて製品を提供することが一般的です。そのため、洋菓子店のパティシエの年収は、ホテルのパティシエよりも低い場合があります。一般的には200万円から400万円です。

ただし、これらは一般的な傾向であり、個々の場合によって異なります。経験やスキル、職場環境などが、パティシエの年収に影響を与える要因となります。職人と呼ばれる職種はいずれも個人の実力とそれが評価される環境にいることが最大の年収アップのカギです。

5.パティシエに必要な資格やスキル

日本でパティシエになるには、特定の資格が必ずしも必要というわけではありませんが、以下のような資格や学歴が求められることがあります。特に転職の際は調理師免許があると優遇されることがほとんどです。パティシエとして将来様々なホテルで経験を積みたいと考えている人はこれらの資格の取得を検討することをお勧めします!

調理師免許(調理技術者免許)

パティシエになるためには、まず調理師免許を取得する必要があります。調理師免許は、日本国内で認定された調理技術者の資格であり、調理技術や衛生管理に関する知識を証明するものです。転職の際は優遇されたり、調理師免許が必須の場合が多いです。今後パティシエとしてキャリアアップしたいと考えている方はほぼ取得必須な資格と言えます。

専門学校や専門学科の卒業

パティシエとしての技術や知識を身につけるために、専門学校や調理学校のパティシエコースを卒業することが求められることがあります。パティシエ専攻の学校では、製菓技術やパティシエの基礎知識、食品衛生などの専門的なトレーニングを受けることができます。

関連する資格の取得

パティシエとしてのスキルや専門知識を証明するために、関連する資格を取得することも有益です。例えば、日本パティシエ協会製菓衛生師、菓子製造技能士などの資格があります。後者2つは国家資格であり、これらの資格は、パティシエとしての信頼性や専門性を高めることができます。

6.パティシエ業界の現状

洋菓子はさまざまな場面で需要があり、パティシエとしての仕事が極端に減ったりすることはないでしょう。しかし、パティシエ業界には多くの課題があります。

給与と労働環境です。パティシエの離職率は、1年以内では70%、3年以内で90%とも言われていますが、調べたところそのようなデータは存在していません。

しかし、離職率の高い業種で調べてみると宿泊業、飲食サービス業で49.7%となっており(新規学卒就職者の離職状況:厚生労働省から参照)、離職理由は、人間関係、労働環境、給与や待遇によるものがほとんどです。各人によって様々ですが、労働環境、給与や待遇の面で課題があります。どうしても調理系の仕事は仕込みや、翌日の準備があるので、長時間労働になりやすいです。調理場では立ち作業で力仕事もあります。給与も高い業界ではないので、離職率が高いのが現状です。

7.パティシエのキャリアアップの方法とは

パティシエとして活躍したい!美味しく美しい洋菓子を作り続けたい!そのためにはキャリアアップが必要になるかもしれません。では、パティシエでどのようにキャリアアップすればいいのか、確認しておきましょう。

資格を取得する

資格は自分の技術や知識を最低限保証してくれるもので、キャリアアップには欠かせません。パティシエであれば、国家資格である製菓衛生師、菓子製造技能士はその分難度が高く、信用度も高いです。転職の際に自身の能力の証明として非常に有用です。

他の業種へ転職する

ホテルから洋菓子店やまたはその逆、他のジャンルの調理師など、パティシエとしての前職で身につけた技術や経験をもとに転職する場合も考えられます。

独立して開業する

給与や待遇、自分でやりたいことがあるのならば、独立することがいいでしょう。独立してお店を出すには、食品衛生責任者の資格が必須です。またマーケティングや経営を学ぶことが必要です。

海外留学する

洋菓子業界ではその国でしか学べない技術や分野など多くあります。ホテル業界では、語学力もとても重宝されます。海外経験は、大変なこともありますがキャリアアップには非常に有効です。

8.パティシエの魅力

パティシエの世界は、芸術と科学が融合した魅力的な領域です。美味しい料理を通じて人々に幸せを届ける喜び、創造力と繊細さを兼ね備えた製菓技術、そして季節や文化を反映した魅力的なデザートの開発など、パティシエの世界は無限の可能性に満ちています。ここではパティシエの仕事の魅力を紹介します!

発想が形になる

パティシエの仕事は、創造性を発揮し、美しいスイーツやデザートを作り出すことができる点で魅力的です。日々の生活での出来事や知識から新しいレシピやデザインを考案し、自分のアイデアを形にすることで、達成感や喜びを感じることができます。さらに、クリスマスやバレンタインデー、ハロウィンなどの特別な日に、お客様に楽しんでもらえるデザートを提供することで、季節感やイベントの雰囲気を味わうこともできます。

ゲストの喜び

パティシエは、自分の作ったデザートがゲストに喜んでもらえることを目指します。お客様からの感謝や笑顔を受けることで、嬉しさや達成感を得ることができます。

チームワークと協力

パティシエは、料理人や他部門のホテリエと協力して仕事を行います。チームと協力し合いながら、おいしいデザートを提供することで、チームワーク力の向上や仲間との絆を築くことができます。複数のホテルで働くことで多くの仲間と中を深められることは将来的にあなたの大きな財産となります。

パティシエとしての成長

パティシエは、常に新しい技術やレシピを学ぶことでパティシエとしての成長を図ることができます。食材や他のパティシエとの交流、製菓技術の知識を深めることで、自身のスキルや専門知識を向上させることができます。

9.ホテルパティシエとパティスリーパティシエ(洋菓子店)の違い

ここまでパティシエについて詳しく解説してきました。しかし、パティシエといっても洋菓子店で働くパティシエとホテルの中のレストランで働くパティシエがいます。どのような違いがあるのでしょうか?ホテルのパティシエの特徴を洋菓子店のパティシエと比較する形で解説します。適していると感じたほうを選択しましょう!

キッチンの規模

ホテルのパティシエは、大規模な施設内で働きます。一方、洋菓子店のパティシエは、比較的小規模な店舗で働くことが多いです。ホテルのパティシエは、一度に多くのゲストやイベントに向けてデザートを提供する必要がありますが、洋菓子店のパティシエは、個人のゲストに向けて製品を提供することが一般的です。

メニューの幅広さ

 ホテルのパティシエは、レストランやカフェのメニュー全体をサポートするため、幅広い種類のデザートやスイーツを製造する必要があります。洋菓子店のパティシエは、通常は洋菓子の製造に特化しており、より限定された種類の商品を提供します。

需要の変動

ホテルのパティシエは、季節やイベントに応じて需要が大幅に変動することがあります。特定の時期やイベントには、大規模な宴会やイベントに向けて大量のデザートを製造する必要があります。一方、洋菓子店のパティシエは、より一定需要に対応することが一般的です。

チームの構成と役割

ホテルのパティシエは、ホテル内のフード&ビバレッジ部門の一部として、他の料理人やスタッフと連携して働きます。洋菓子店のパティシエは、通常は小規模なチームや個人で働くことが多いです。

これらは一般的なホテルと洋菓子店の違いです。実際にはホテルのパティシエと洋菓子店のパティシエの役割や環境は、それぞれの施設や店舗によって大きく異なりますので、実際に働く際には下調べをしておきましょう。

技術を学べる

専門のパティシエがいるほとんどのシティホテルに技術の卓越したパティシエのトップ、パティシエチーフが在籍しています。ホテルにとってデザートは集客に大いに影響する大事な部分です。ですから、パティシエチーフには非常に技術力のあるパティシエを雇用していることが多いです。その人の技術や知識を学ぶことができます。さらに在籍するパティシエの人数も多いので、特定の技術がたけている同僚から学ぶこともたくさんあるでしょう。

高価な食材を扱える

ホテルは一般的な洋菓子店に比較すると、大規模な取引を行うことができます。大規模になると扱う食材の種類も多くなり、高価な食材や希少な食材を扱えることが多くなります。大規模な取引を経験することはパティシエとしての経験や技術、知見を広げることにつながるため、おススメです!

10.パティシエの大変なところ

体力が必要

パティシエの仕事は、時に非常に忙しく、体力的にも精神的にも負担が大きい場合があります。繁忙期やイベントシーズンでは、勤務先にもよりますが長時間労働や残業が必要になることがあります。

厳格なスケジュール

パティシエは、常に厳格なスケジュールの下でスイーツの製作にあたっています。特に大規模なイベントやパーティーの場合、大量のデザートやスイーツを準備しなければならないため、時間管理が非常に重要です。

品質の維持

パティシエは、常に高い精度と品質への要求に直面します。デザートやスイーツは、美しく見せるだけでなく、味も美味しく楽しいものでなければなりません。そのため、材料の選定や調整、仕上げに非常に注意を払う必要があります。

マネジメント

パティシエは、時には自身のチームを管理し、指導する責任があります。他のパティシエの指導やモチベーション維持、トラブルに適切に対処する能力が求められることもあります。特にホテルのパティシエは人数が多いのでマネジメントができる時とできない時で現場の状況が大きく変わることが多くあります。日々の業務でどのようなマネジメントが行われているのかしっかり観察することが重要です。

11.パティシエとしての自由度

近年ホテルでは効率を重視し、既製品を使うことが多いです。そのため、準備や最後の仕上げがパティシエの主な作業になることが多いです。創造性の発揮や技術の研鑽ができず、若手の間は調理補助としての立場で、パティシエとしての仕事ができないと悩む人も多いようです。

12.まとめ

今回はパティシエという職業について詳しく解説しました。パティシエは、ただ単にお菓子を作ることにとどまりません。むしろ、芸術性と独創性が融合し、独自の世界を生み出す個性あふれる仕事と言えます。このような魅力に満ちた仕事は、常に新たな挑戦と発見が待っています。