宿泊業界とは主にホテルや旅館などで宿泊サービスを提供する業界のことを言います。この記事では就職活動で宿泊業界が気になった方に向け、宿泊業界の概要や最近の動向、魅力、大変なところ、給与について紹介します。インバウンド客や国内観光客の増加と共に拡大を続ける宿泊業界について詳しくなれます!
記事の目的
宿泊業界について知る
宿泊業界とは
宿泊業界は、宿泊施設を提供し、旅行者やビジネス客が一時的に滞在する場を提供する産業を指します。ホテルや旅館だけでなく、ゲストハウス、民宿なども含まれます。観光地や都市部を中心に多様な施設が存在し、それぞれが異なるサービス内容や設備を有しています。近年ではオンライン予約サイトの普及や新たな宿泊価値の創出が業界を牽引し、競争も激化しています。
宿泊業界の分類
宿泊業界は宿泊サービスを提供する業界ですが、サービスの内容によって3種類に分けることができます。
ホテル
ホテルは、一般的に洋式の建築スタイルを持ち、個室に専用のバスルームやトイレが完備されています。多くの場合、客室内にはベッドやデスク、テレビ、冷蔵庫などが設置され、快適な滞在を提供します。レストランやカフェ、フィットネスセンターなどの設備も充実しており、ビジネス旅行者や観光客向けに広く利用されています。
旅館
旅館は、温泉や和室、和風なデザインの客室といった日本の伝統的な宿泊設備を持っていることが特徴です。共同の大浴場や露天風呂が設置されていることが多く、お風呂や食事を含む日本独自のサービスを提供しています。季節の食材や地元の料理を楽しむことができ、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
簡易宿泊施設
簡易宿泊施設は、ホテルや旅館に比べ設備が簡素な宿泊施設を指します。一般的には寝具と基本的な設備が整っており、上の2つに比べて安価な価格設定が特徴です。ビジネスや短期滞在、バックパッカーなどの需要に応じて提供されています。場合によってはバスルームやトイレを共同で使用することもあります。
宿泊業界の動向
昨今の宿泊業界がどのように変化してきたのかについて解説します。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの流行により、宿泊業界は大きな影響を受け、急激な売り上げ減少に直面しました。総務省のサービス産業動向調査によると、2020年宿泊施設の収益は前年比で約60%減少し、特に大都市や観光地では宿泊率が急激に低下しました。緊急事態宣言や行動制限による旅行の制限が影響し、多くの施設が閉鎖を余儀なくされました。衛生対策やソーシャルディスタンスの必要性から様々なサービスの提供方法に変化が生じ、お客様、スタッフ双方に大きく負担をかける結果となりました。しかし、非接触のサービスが注目され、オンライン予約やコンタクトレス決済、セルフサービスが普及しました。
インバウンド客の増加
コロナ禍による行動制限後、インバウンド客が急激に増加しています。日本政府観光局によると、2023年の訪日観光客数は2500万人で、コロナ前の2019年の8割となり、今年度は過去最多となる見込みです。急激なインバウンド客の増加によって宿泊業界は需要が供給を上回っており、宿泊施設の新規開業や増設など、需要に追いつくために四苦八苦しています。しかし、宿泊業界は慢性的な人手不足となっており、機械導入によるチェックインの無人化や管理職の現場投入などで対応しているのが現状です。
進むデジタル化
これまで宿泊業界では、電話やメールで予約を受け付ける宿泊施設が多く、これらの対応に当たるスタッフの確保や予約手続きの複雑さなど、デジタル化によって減らすことができる業務が多く存在していました。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)のよって業務のデジタル化や手続きの簡素化、人工知能を用いた業務の最適化によって業務の効率化と省力化が行われてきました。この改革によりコロナ禍以降は宿泊業界で働くストレスが軽減されつつあります。その一方で、基本的なパソコン操作が出来なければ仕事をすることが難しくなったため、働く側がデジタルに慣れる必要が出てきています。
変化し続けるニーズ
ホテル業界は社会や市況の変化に大きく影響を受ける業界です。ホテルに求められるニーズはコロナ前、コロナ禍、コロナ後で大きく変化しました。コロナ以前は、とにかくたくさんの方に宿泊していただくといったように、高い回転率を求められていたのが、コロナ禍で人同士の接触の少ないプライベートな空間、コロナ禍が明けた最近では空間や体験などの独自の付加価値が求められ、ホテル業界のトレンドも変化してきました。
経営面では、コロナ後に堅調な回復を見せているホテルが多いことや、宿泊以外のサービスで業績を伸ばすことで経営の安定化を図ってきたホテルも多くあり、時代の流れに合わせて事業や方針を柔軟に変えてくことが求められています。
宿泊業界で働く魅力
ここからは宿泊業界で働く魅力を4つ紹介します。
多様な職種とキャリアパスがある
宿泊業界には仲居や調理スタッフなど様々な職種があるだけでなく、キャリアアップのための業界内転職が多く、流動性の高い業界です。そのため、転職の敷居が他の業界に比べて低く、無数にキャリアプランを組むことができます。
宿泊業界で働くスタッフの多くが最終的に目指す姿として代表的な例を2つ紹介します。一つ目は昇進を繰り返し、管理職に就くルート、2つ目は専門分野を極め、他のスタッフに替えられない技術を持ったプロになるルートです。特にホテルなどでは、一流シェフやバトラーのように特定分野を極めることで、その人にお願いしたいと思ってもらえるような希少性の高い技術を持つこともキャリアパスとして有効です。
様々な長所や語学力が活かせる
宿泊業界では職種によって必要なスキルが異なります。例えば仲居の場合はコミュニケーション能力や観察力が、ホテルのフロントの場合は問題解決能力や語学力必要となります。業務で必要となるスキルとあなたの持つ長所や能力が一致すれば、あなたの強みを存分に活かして仕事をすることができます。あなたの強みを生かせる職種を見つけ、必要とされるスタッフになりましょう!
充実した福利厚生
宿泊業界はほとんどの施設で充実した福利厚生を整備しています。例えば、正社員(一部契約社員)には系列宿泊施設の宿泊割引制度がある場合があったり、その宿泊施設の特徴となる施設(温泉、サウナ)などを無料で利用できるといった社割制度を設けている宿泊施設が多く存在します。さらに、旅行に行く際に費用の一部を補助する制度がある施設など、趣向を凝らした福利厚生が整備されており、働きやすいだけでなくプライベートを充実させる環境が整っていることも魅力です。
宿泊業界の大変なところ
やはり働くからには大変なことがあるのも事実です。宿泊業界の大変なことを3つ紹介します。
不規則な勤務時間と夜勤
宿泊業界では、フロントを中心に不規則な勤務時間と夜勤が一般的です。ホテルや旅館は24時間営業であり、フロントデスクや客室清掃、レストランなどのサービスを提供するため、スタッフは早番、中番、遅番といったシフトで働きます。シフトによっては夜間勤務や早朝勤務が必要となる場合があります。
しかし、このような不規則な勤務時間や夜勤は、スタッフの生活リズムに影響を与える可能性があります。そのため、最近では夜間専門のフロントスタッフを設け、昼と夜で完全にシフトを分けている宿泊施設があり、スタッフのモチベーションや働きやすさを向上させる取り組みが進められています。
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繁忙期の長時間労働
宿泊業界における繁忙期は、通常、観光シーズンやイベント開催時などに集中します。この期間では、ホテルや旅館は宿泊率が急激に上昇し、多くの宿泊客を受け入れます。そのため、多くのスタッフが必要とされますが、人手不足であるホテルでは交代のスタッフが確保しにくのが現状です。なので、この時期に長時間労働を余儀なくされ、朝早くから深夜まで働かざるをえないことがあります。しかし、最近はセルフチェックイン機の導入や予約業務のオンライン化などで業務量を減らし、省力化が行われつつあります。
ゲスト対応のストレス
宿泊業界を含む接客業を辞めてしまう原因として多いのがクレーム対応です。クレームは予期せぬ出来事から起こることが多く、急な対応が求められることがあります。そのため、対応するスタッフは高度なコミュニケーションスキルと冷静さが要求され、非常にストレスを抱えやすい状況に直面します。特にホテル側ではどうしようもない理不尽なクレームへの対応に苦慮する事が多くあり、現場を悩ませてきました。しかし、去年の旅館業法の改正により理不尽なクレームを繰り返す人に対してホテル側が宿泊拒否できるようになったことで、毅然と対応できるようになりました。
宿泊業界の給与
厚生労働省の発表によると、2021年の宿泊業・飲食サービス業のひと月あたりの平均賃金は男性で28万6800円、女性で21万5000円です。ゆえに、飲食サービス業の賃金や調査対象の年齢層の幅広さを加味すると、宿泊業界の平均的な年収は300万円前後となります。
なお、宿泊業界では職位が上がったり、高級ホテル、高級旅館で働くほど給与が高くなる傾向があります。
まとめ
今回は宿泊業界の動向や業界の魅力、大変なことについて解説しました。宿泊業界は時代の変化と共に変わり続けており、特に昨今は働く人に焦点を当てた様々な変化が起こっています。今後宿泊業界はより働きやすい業界へと変わっていきます。宿泊業界に興味の持った方は是非in the HOTELでどのような求人があるか探してみましょう!