仲居は旅館の顔としてお客様に接する仕事ですが、実際にどんなことをしているのかあまりわからないという方も多いはず。この記事では、仲居に興味を持っている方に向けて、旅館の顔でもある仲居の仕事内容や一日の流れ、勤務体制など、仲居に関する様々な情報を詳しく解説します。
記事の目的
仲居について詳しくなる。
1.仲居は旅館の顔
仲居とは、旅館でお客様に対して接客やサービスを提供するスタッフのことです。ホテルのフロントと比較すると対応するお客様の人数は減りますが、お客様一人当たりの接客機会、接客時間が多く、長くなります。そのため、丁寧な接客やコミュニケーション能力が求められ、旅館の評価は仲居の接客に大きく左右されます。仲居はまさに旅館の顔といえる、旅館にとって大切な職業です。
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2.仲居の仕事内容
仲居の仕事内容を紹介します。
お出迎え
旅館の仲居は、到着したお客様に館内施設の案内を行います。チェックイン後に客室まで案内し、部屋の設備や使い方、温泉や食事処、共用施設の場所や利用方法について説明します。また、館内の特色や魅力的なポイントを紹介し、お客様が快適に過ごせるように配慮します。さらに、非常時の避難経路や注意点についても案内し、安全な滞在をサポートします。施設の案内は、お客様が旅館を理解し、安心して利用できるようにする重要な業務です。
料理の提供
仲居の料理の提供業務には、お客様の部屋や指定の食事処で料理を配膳することが含まれます。料理の説明やお品書きの紹介、アレルギーや好みに応じた対応も行います。季節感や地元の食材を活かした料理を丁寧に配膳し、お客様に満足してもらえるよう心を込めたサービスを提供します。また、料理のタイミングや順番を考慮し、最適な状態で料理を提供することも重要です。料理の提供は、お客様の食事体験を豊かにし、旅館の魅力を伝える大切な業務です。
お見送り
仲居の仕事には、お客様の出発時に心を込めたお見送りをすることも含まれます。チェックアウト手続き後、荷物の運搬を手伝ったり、タクシーの手配を行ったりします。玄関先で笑顔でお見送りし、旅館の利用に感謝の気持ちを伝えます。また、再訪を促す言葉をかけたり、道中の安全を祈ったりすることで、お客様に良い印象を与えます。お見送りは、旅の終わりを気持ちよく締めくくり、再度の利用を期待させる大切な業務です。
清掃
仲居の清掃業務には、お客様の滞在中の客室および共用エリアの清掃が含まれます。客室では、布団の上げ下ろし、ベッドメイキング、トイレや浴室の清掃、ゴミの回収などを行い、常に清潔な状態を保ちます。共用エリアでは、廊下やロビー、温泉施設などの清掃を行い、快適で衛生的な環境を維持します。清掃は、お客様に気持ちよく過ごしていただくために欠かせない業務であり、細やかな気配りと徹底した清掃が求められます。
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3.仲居の一日
仲居がどのような一日を送るのかについて表でまとめました。
6:00 | 起床 |
6:30 | 出勤/着付け |
7:00 | 朝食準備/提供 |
10:00 | お客様の見送り |
10:30 | 客室清掃 |
11:30 | 休憩 |
15:00 | お客様の出迎え |
16:00 | 夕食準備提供 |
21:00 | 退勤 |
22:00 | 温泉 |
23:00 | 就寝 |
仲居の仕事は、早朝から夜遅くまで多岐にわたります。起床後すぐに出勤し、まずは和装に着替えてお客様を迎える準備をします。朝食の提供が終わると、見送りや客室清掃などの業務が続きます。午後の休憩時間には、次のお客様を迎えるための準備を整えます。夕食の準備と提供が終わると、ようやく一日の業務が終了しますが、その後には自分のリラックスタイムとして温泉に浸かることもあります。仕事の合間に、細やかな気配りやおもてなしの心を持って行動することが求められ、仲居としてのやりがいと責任感が感じられる一日となっています。
4.仲居の勤務体制
仲居の勤務体制について解説します。
シフト制
仲居の勤務体制には、シフト制が一般的に採用されています。シフト制とは、24時間営業の宿泊施設で働く仲居が、交替で勤務する制度です。早朝から深夜までの長時間営業に対応するため、仲居は早番、遅番、夜勤などのシフトに分かれて働きます。シフト制により、働く時間帯が日によって異なることが多く、柔軟な勤務が求められます。また、シフト制は個々の仲居のライフスタイルに合わせた勤務が可能で、休日や休憩時間の調整もしやすい利点があります。
中抜け
中抜けとは、勤務時間の途中に長めの休憩時間が設けられる勤務形態です。仲居の仕事では、朝食の提供やお見送りの後、一旦休憩を取り、午後の出迎えや夕食の提供の時間帯に再び働くことが多いです。このように、一日の中で働く時間が分散されるため、朝から夜まで拘束時間が長くなることがあります。中抜け制度は、繁忙期や特定のイベント時に柔軟に対応するための仕組みであり、仲居にとっては休憩時間を有効に使うことが求められます。
たすき掛け勤務
たすき掛け勤務とは、連続して勤務するのではなく、勤務時間の間に長めの休憩を挟む勤務形態です。例えば、朝の業務が終わった後に一度帰宅し、夕方から再び出勤することがあります。これにより、一日の中で複数回出勤と退勤を繰り返すことになります。たすき掛け勤務は、旅館やホテルの繁忙時間帯に合わせて効率的にスタッフを配置するための方法であり、仲居にとっては休憩時間を利用してリフレッシュする機会を得ることができますが、再度の出勤が負担になることもあります。
5.仲居の給料
年収や残業などの仲居の待遇について解説します。
年収
仲居の平均年収は約250万〜350万円程度とされています【出典:Career Garden】。年収は勤務する旅館やホテルの規模、地域、経験年数によって異なります。都市部や高級旅館での勤務、長い実務経験がある場合には、年収が高くなる傾向があります。また、年収を上げるには、接客技術や外国語能力を磨くことが有効です。特に外国人観光客が多い地域では、英語などの言語スキルが評価され、昇給や昇進の機会が増える可能性があります。
心付け
仲居には、心付けと呼ばれるお客様からのチップが渡されることがあります。心付けは、お客様が仲居のサービスに感謝の意を示すためのもので、通常は直接手渡されます。心付けの金額は、宿泊料金やサービスの質、お客様の満足度によって異なりますが、一般的には数千円程度です。心付けは仲居の収入の一部となり、特に繁忙期やリピーターのお客様が多い旅館では、収入の大きな補完となることがあります。しかし、全ての旅館で心付けがあるわけではなく、旅館の方針により禁止されている場合もあります。
残業について
仲居の仕事は、勤務時間が不規則で残業が発生しやすい職種です。特に繁忙期や連休、年末年始などは、通常の勤務時間を超えて働くことが多くなります。朝食や夕食の準備・提供、客室清掃、お客様のチェックイン・チェックアウト対応など、業務が多岐にわたるため、労働時間が長くなる傾向があります。残業時間に応じた手当が支給される場合もありますが、旅館の規模や経営方針によって異なります。長時間労働に耐える体力と、柔軟な対応力が求められる仕事です。
6.仲居に向いている人
仲居にはどのような人が向いているかについて解説します。
お客様を喜ばせたい人
仲居に向いているのは、お客様を喜ばせたいという強い意欲を持つ人です。お客様の滞在を快適で特別なものにするために、細やかな気配りや心のこもったサービスを提供します。お客様の要望に先回りして対応し、期待を超えるおもてなしをすることで、満足度を高めることができます。特に、お客様の笑顔や感謝の言葉に喜びを感じる人にとって、仲居の仕事は非常にやりがいのある職種となります。お客様を喜ばせることに喜びを見出せる人が、仲居には最適です。
体力がある人
仲居の仕事は体力を要するため、体力がある人が向いています。朝早くから夜遅くまでの長時間労働や、重い荷物を運ぶ、部屋の清掃、布団の上げ下げなど、身体を使う作業が多いです。体力があることで、忙しいシーズンや繁忙期でも効率的に仕事をこなすことができます。また、体力があることで疲れにくく、お客様に常に笑顔で接することができるため、サービスの質を保つことができます。健康でスタミナのある人が、仲居には適しています。
コミュニケーション能力がある人
仲居に向いているのは、優れたコミュニケーション能力を持つ人です。お客様との対話を通じてニーズや希望を理解し、的確に対応することが求められます。親しみやすく、聞き上手であることが重要で、お客様がリラックスできる雰囲気を作ることができます。また、スタッフ間の円滑なコミュニケーションも必要で、チームワークを発揮してサービスを提供するために、情報共有や協力が不可欠です。コミュニケーション能力が高い人は、仲居としての仕事をスムーズに進めることができます。
7.働いている年齢層
仲居の年齢層は幅広く、20代から60代以上まで様々な年代の方が働いています。若い仲居は体力があり、接客の柔軟性や親しみやすさを持っています。一方、年齢を重ねた仲居は、豊富な経験と知識を活かした丁寧な接客や細やかな気配りが求められます。最近では、定年退職後に再就職するシニア層も増えており、年齢に関係なく働ける環境が整っています。また、近年は男性の仲居も増えており、布団の上げ下げなどの力仕事や深夜のフロント作業など、活躍する機会が多くあります。
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8.仲居になる方法
仲居になるにあたって必要な資格やなる方法について解説します。
必要な資格
仲居に必要な資格は特にありませんが、能力の証明となり、就職や転職においてあれば採用されやすくなる資格をいくつか紹介します。資格選びはあなたがアピールしたい能力に合わせて取得しましょう。
サービス接遇検定
サービス接遇検定は、接客に関する基本的なマナーやスキルを証明する資格です。この検定では、お客様への対応方法や言葉遣い、態度といった接客の基本を学びます。試験は筆記と実技があり、筆記試験では接遇マナーやおもてなしの心、顧客満足に関する理論が問われます。実技試験では、具体的な接客シーンを想定した研修が行われ、適切な言葉遣いや態度、対応の仕方が評価されます。
具体的な内容としては、正しいお辞儀の仕方やお茶の出し方、お客様の名前の呼び方などが含まれており、細かいマナーに関する知識を習得します。接客時の立ち居振る舞い、電話応対の基本、クレーム対応の方法など、実務に直結するスキルを学ぶことができます。これらのスキルは、仲居として働く上で非常に重要であり、就職活動の際にアピールポイントとなります。特に、新入社員として入社する際には、基本的な接客マナーを身につけていることで即戦力として評価されやすくなります。
ユニバーサルマナー検定
ユニバーサルマナーとは高齢者や障害を持った方など、自分とは境遇の異なる人の立場に立ち行動する時の心づかいのことを指します。この検定を通して様々な人と接するときの心づかいや声かけについて学ぶことができます。
各種英語検定
昨今のインバウンド客増加に伴い、ホテルだけでなく、日本の温泉文化を味わえる旅館にも多くの外国人観光客が宿泊しています。そのため、英検やHSK(中国語検定)など外国語を一定習得していることが示せると即戦力として優遇されることがあります。なお、仲居の場合は外国語を使った会話がメインとなりますのでリーディングとリスニングのみのテストの勉強をしても実務で活かせるとは限らないのでできるだけスピーキングも含まれている試験を選びましょう。
求人サイトを通じて応募
仲居になるためには、求人サイトを通じて旅館に直接応募して就職する場合がほとんどです。なお、応募する際は仲居とは別の名称で記載されている求人があるので注意しましょう。旅館の求人であっても、サービススタッフやレストランスタッフといった名称で仲居の求人が出ている場合があります。in the HOTELでは魅力的な仲居の求人を扱っているので、是非チェックしてみてください。入社まで全力でサポートいたします!
9.まとめ
今回は旅館に欠かせない存在である仲居について詳しく解説しました。仲居は、旅館の顔としてお客様に接する重要な役割を担い、細やかな気配りと心のこもったサービスを提供します。早朝から夜遅くまで多岐にわたる業務をこなし、お客様の満足度を高めるために尽力する姿勢が求められます。シフト制や中抜け勤務など、柔軟な勤務体制で働き、体力やコミュニケーション能力を活かしてお客様をもてなすことができる人にとって、非常にやりがいのある仕事です。資格取得や外国語能力の向上も、キャリアアップに繋がるポイントとなります。仲居の仕事は大変ですが、お客様の喜びを間近で感じられる魅力的な職種です。