ホテルと旅館の違いとは?働き方やサービスの違いなど徹底比較!

宿泊施設は大きく分けてホテルと旅館の2つに分ける事ができます。では、ホテルと旅館の違いは何でしょうか?この記事ではホテル、旅館のどちらに就職や就職をしようか悩んでいる方に向け、サービスや働き方の面からホテルと旅館の違いを解説します。

記事の目的
ホテルと旅館の違いを理解する

宿泊業界ってどんな業界?業界動向や魅力、給与なども解説!【2024年最新版】
宿泊業界とは主にホテルや旅館などで宿泊サービスを提供する業界のことを言います。この記事では就職活動で宿泊業界が気になった方に向け、宿泊業界の概要や最近の動向、魅力、大変なところ、給与について紹介します。インバウンド客や国内観光客の増加と共に...

ホテルと旅館の設備・サービスの違い5選

まずは、設備・サービス面から見たホテルと旅館の違いを5つご紹介します。

1.建築スタイルの違い

ホテル

ホテルは主に西洋風の建築スタイルを採用しており、現代的で機能的なデザインが特徴です。高層建築が多く、内部にはカーペットが敷かれ、ベッドやデスク、テレビなどが配置された洋室が主流です。また、バスルームやトイレが個室に設置されていることが一般的で、旅館に比べて共用設備が少なく、プライバシーを重視した設計となっています。ホテルの外観はガラスや金属を多用したモダンなデザインが多く、都市の景観に溶け込むことを意識しています。

旅館

一方、旅館は日本の伝統的な建築スタイルを持ち、木材や紙を多用した温かみのあるデザインが特徴です。建物はホテルに比べて低層であることが多く、畳の敷かれた和室が中心となります。障子や襖、床の間など、日本の風情を感じさせる要素が多く取り入れられています。共用の大浴場や露天風呂も旅館の大きな魅力の一つであり、木目調や緑を取り入れた自然と調和した設計が施されています。旅館の外観は瓦屋根や庭園など、日本の静かで落ち着いた伝統美を大切にしたものが多く、モダンさを重視したホテルとはまた異なる方法で訪れる人に特別な空間を提供します。

2. 設備の違い

ホテル

ホテルでは、床にカーペットが敷かれており、ベッドや個室のバスルーム、トイレが設置されているのが一般的です。客室にはベッド、デスク、テレビ、冷蔵庫、エアコンなどが完備されており、ビジネス客や観光客の利便性を重視しています。また、館内にはレストラン、フィットネスセンター、プール、会議室、ビジネスセンターなど、多様な設備が整っています。さらに、Wi-Fiやランドリーサービス、ルームサービスなど、現代的な利便性を提供することが多いです。

旅館

一方、旅館は宿泊と合わせて温泉も併設するという日本の文化に沿った設備となっています。ホテルが宿泊機能を重視する一方、旅館は温泉に入りゆっくりする為の宿泊機能であり、施設を利用する目的が異なっています。客室には畳が敷かれ、布団が用意される和室が主流です。温泉に入る事ができる場所は共同の場合が多く、大浴場や露天風呂など、共用の風呂施設が充実しています。これにより、宿泊客同士の交流やリラックスした時間を楽しむことができます。さらに、部屋食やお布団敷きなどのサービスが提供されることが多く、個別の丁寧なサービスと、伝統的な日本のおもてなしを体験することができます。しかし、昨今は旅館であってもフィットネスセンターや会議室などホテルにしかなかった設備を取り入れる場合が多くなっています。

3. サービスの違い

ホテル

ホテルでは、職種ごとに仕事を分担し、各々が効率的かつ高いレベルのサービスを提供しています。例えば、チェックインの手続きはフロントが行い、部屋までの荷物の移動はベルスタッフが行いますが、フロントのスタッフが荷物を部屋まで運ぶことはほとんどありません。ホテルではそれぞれの専門分野を極めることで良いサービスを提供しているのです。レストランでは様々な国の料理が提供され、ルームサービスも利用可能です。また、多くのホテルにはコンシェルジュにあたるスタッフがおり、観光情報の提供や予約の手配など、さまざまなサポートを行います。また規模の大きなホテルではブライダルや会議など宿泊を伴わないサービスを行っていることも大きな特徴です。

旅館

一方、旅館では、それぞれのお客様に担当の仲居が就いてサービスを提供しています。宿泊客一人一人に合わせた細やかなサービスが提供されることが特徴です。また、チェックイン時にはお茶や和菓子での歓迎があることがあります。客室には仲居が訪れ、部屋食として地元の食材を使った和食を提供することが一般的です。夕食後には布団を敷いてくれるサービスもあります。また、旅館の多くには大浴場や露天風呂があり、宿泊客同士の交流やリラックスの場となっています。

4. 食事の違い

ホテル

ホテルは西洋式の宿泊施設であり、様々な国からのお客様をターゲットとしている事から、食事の選択肢が多様で、宿泊客の幅広いニーズに満たす料理が提供されていることが特徴です。ホテル内のレストランでは、洋食、中華、和食など様々な国の料理が提供されることが一般的で、ビュッフェスタイルの朝食も多く見られます。また、ルームサービスを利用して部屋で食事を楽しむことも可能です。ホテルのレストランは外部からの来客も受け入れているため、会食や記念日のディナーなど、様々なシチュエーションに対応できる高級レストランやカフェが併設されています。

旅館

一方、旅館では、宿泊客に対して地元の特別な食事体験を提供しています。夕食は通常、地元の食材をふんだんに使った和食が中心で、季節の味覚を楽しむことができます。食事は大広間での提供か、客室での部屋食のどちらかである事が多く、仲居さんによる配膳サービスで運ばれてきます。朝食も和食が主体で、地元の特産品を味わえるのが魅力です。このように、旅館の食事は幅の広さよりも地元の名産品を最高の形で提供することを重視しており、様々な種類の料理を提供するホテルとは異なります。

5. 価格の違い

ホテル

ホテルの価格帯は広範囲で、ビジネスホテルから高級ホテルまで多様です。ビジネスホテルはシンプルなサービスを提供し、料金も比較的安く、1泊あたり数千円から数万円程度です。これに対して、高級ホテルは豪華な施設やサービスを提供しており、その分料金も高めで、1泊数万円から数十万円になることがあります。ホテルは基本的に宿泊のみの料金設定が多く、食事はオプションとして追加できるため、自分の予算や目的に合わせたプランを選びやすいのが特徴です。

旅館

一方、旅館は全体的に高めの価格設定が多いです。これは、旅館が提供するサービスが多岐にわたるからです。旅館の宿泊料金には通常、夕食と朝食が含まれており、これらの食事は地元の食材を使った豪華な和食が提供されます。また、広い大浴場や部屋食、布団敷きなどの特別なサービスも含まれています。これらのサービスが料金に反映されるため、1泊あたりの料金は1万5千円から5万円程度が一般的です。高級旅館ではさらに高額になることもあります。

ホテル・旅館で働き方の違い2選

ホテルで働くのと、旅館で働くのではどのような違いがあるのでしょうか?それぞれの違いについて説明します。

1.ゲストの人数の違い

ホテル

ホテルは規模が大きく、多くの宿泊客を受け入れることが一般的です。特に大都市にあるビジネスホテルや観光地にある大型ホテルは、毎日多くの宿泊客を受け入れます。これにより、フロント業務や清掃業務、レストランの運営など、多岐にわたる業務が発生します。スタッフはそれぞれの役割に特化し、効率的に業務をこなすことが求められます。また、多言語対応や迅速なチェックイン・チェックアウト手続き、24時間対応のフロントサービスなど、多様なニーズに応える能力が必要です。ホテルでは、ビジネス客や観光客など多様なお客様に対応するため、サービスの標準化とスピードが重視されます。

旅館

一方、旅館は一般的に規模が小さく、個別のおもてなしを提供することに重点を置いています。旅館は客室数が少ないため、一度に受け入れる宿泊客の数も限られます。これにより、スタッフは一人ひとりのお客様に対してきめ細やかなサービスを提供することが求められます。例えば、チェックイン時のお出迎えや客室への案内、食事の準備や提供、布団の敷きなど、細部にわたるおもてなしが重要となります。旅館では、宿泊客との対話やコミュニケーションを重視し、個別の要望に応じた柔軟な対応が求められます。

このように、ホテルでは多くのお客様に対して一定以上のサービスを提供する一方、旅館では少人数のお客様に対して個別のおもてなしを重視したサービスを提供します。それぞれの業態において、求められるスキルやサービスのアプローチが異なるため、職場を選択する際はあなたに合う方を選択しましょう。

2.接客頻度の違い

ホテル

ホテルは一人の宿泊客との接客頻度が少ないことが特徴です。ホテルで接客を受ける場面はチェックインとチェックアウト時が主となります。それ以外では、宿泊客が自分で移動し、必要な場合にフロントやコンシェルジュに問い合わせるスタイルが一般的です。レストランやルームサービスの利用時も接客がありますが、基本的にはセルフサービスが多く、頻繁な直接のやり取りは少ないです。ホテルは多くのお客様に迅速かつ効率的に対応することが求められるため、お客様一人当たりの接客時間は旅館よりも少なくなっています。

旅館

一方、旅館では、接客の頻度がホテルに比べて高くなります。到着時にはお茶や和菓子での歓迎、部屋への案内、夕食の準備と提供、布団の敷きなど、宿泊客と直接対面する機会が多いです。特に食事はブッフェなどのセルフ形式ではなく、部屋食や大きな会場での提供が一般的で、配膳では仲居さんが丁寧に対応します。旅館では対応するお客様の数はホテルより少ないですが、その分接客頻度は多くなり、一人ひとりのお客様に対して、よりきめ細やかなサービスを提供することが重視されます。

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まとめ

今回はホテルと旅館の違いについて様々な観点から比較してみました。ホテルと旅館それぞれに特徴があり、考え方も異なる部分が多いです。ホテルと旅館のどちらに就職するか迷った際はどのような違いがあるのかについて一度よく考えてみると答えが見えてくるかもしれません。