ホテル業界における「ルームアサイン」とは、宿泊前日やチェックイン時にフロントスタッフが宿泊者にどの部屋を割り当てるか決定するプロセスを指します。よく楽しいと言われるこの仕事について、用語の意味や手順、配慮する項目などについて詳しく説明します。
記事の目的
ルームアサインについて詳しくなる
1. ルームアサインとは
ルームアサインとは、ホテルにおいてフロントスタッフが宿泊客に対して部屋を割り当てるプロセスのことです。このプロセスは、単に空いている部屋を選ぶだけでなく、宿泊客の属性やニーズ、特別なリクエスト、清掃スタッフの業務効率などを考慮しながら最適な部屋を提供することが求められます。具体的には、団体客や家族連れ、利用回数が多い宿泊客など、ホテルを訪れる様々な宿泊客に対して適切な部屋を割り当てることが重要です。
2. 一般的なルームアサインの手順
ルームアサインは、一般的に以下の手順で行われます。
a. 予約情報の確認
宿泊客の予約情報を確認し、宿泊回数や特別なリクエストなどを把握します。
b. 部屋の選定
予約情報に基づき、適切な部屋を選定します。宿泊プランによって、フロアの配置や部屋のタイプ、設備の有無などが変わるため、間違えないように考慮します。
c. 割り当ての記録
選定した部屋をシステムに記録し、他のスタッフと共有します。
d. チェックイン時の案内
チェックイン時に宿泊客に割り当てた部屋を案内し、必要な説明を行います。
3. 部屋割り当てで配慮すべきポイント、その対応方法
先ほど説明した手順の「2:部屋の選定」を行うに当たっては「1:予約情報」が重要となります。ここでは部屋割り当て時に配慮すべき情報とその対応方法を紹介します。
宿泊客のリクエスト
リクエストがある場合はできる限り実現する方向で配慮しましょう。例えば、頻繁に利用される宿泊客が高層階や静かな部屋などの特別なリクエストをしている場合は、できる限り希望に沿った部屋を選定します。
予約数
既存の予約数と空室状況を確認し、最適な部屋を選定します。例えば、予約状況が芳しくない場合は、あえて1フロアを全て空室にし、電気や空調を落とし経費の削減に繋げます。
ファミリー、高齢者
ファミリー層や高齢の宿泊客に対してはエレベーターに近い部屋や階段に近い部屋など、利便性が高い部屋を選定します。
団体客
団体客の場合、全員が快適な宿泊を行えるように、近くの部屋に宿泊できるようにすることが求められます。場合によってはフロアを貸切にして対応することが求められます。ただ、この際は団体側と事前に打ち合わせを行うことが多く、事前に取り扱いが決まっていることがほとんどなので、事前にルームアサインに関する情報を共有しておきましょう。
VIP客、利用回数が多い宿泊客
VIP客や利用回数が多い宿泊客には客室アップグレード等の特別な待遇を用意する必要が多いです。そのため、予約したプランとは異なる高層階や上級の部屋などを事前に割り当てることが一般的です。
要注意客
どのホテルでも他の宿泊客に迷惑をかけてしまう可能性がある宿泊客が一定数います。そのような宿泊客の部屋割り当てでは、他の宿泊客が不利益を被らないような配慮を行います。例えば、客室で騒ぐあまりにうるさいと苦情が入ったことがある宿泊客は、両隣が空室の部屋や角部屋に案内するなどの対応を行います。
季節、イベント
ホテルの稼働率が高くなる季節やイベント開催時等は満室近くになることが予想されます。そのため、通常時とは異なり、客室をできる限り埋める事を最優先で部屋の割り当てを行います。例えば、周りを空室にするなどの対応は中止するほか、ダブルブッキングでプラン通りの部屋を用意できない場合は一回限りの宿泊客であっても空室の上級ルームへアップグレードをするなどの対応を行います。
清掃スタッフ
チェックアウト後に必ず行うのが清掃業務です。どれだけ宿泊客に合わせたルームアサインを行ってもチェックインまでに清掃業務が終わらなければ部屋に通すことは出来ません。そのため、チェックアウト状況と宿泊客のチェックイン予定時刻を参照し、宿泊客が到着する前に部屋の清掃を完了できるように部屋を選定します。例えば、ビジネス客などチェックアウトが早い宿泊客を近くの部屋に集中するように選定することで、清掃スタッフの移動距離を抑えて効率的に部屋の清掃が行えます。
これらの要素をバランスよく考慮することで、宿泊客にとって最適な部屋割りを行うことが可能となります。
4. 無理なリクエストを言われたときは…
特別なリクエストに対応することは、宿泊客の満足度を高めるために非常に重要です。しかし、それはあくまで今後もホテルを使っていただきたいという思いで行うものです。そのため、リピートの可能性が低く、最低価格のプランで予約したにもかかわらず、上級ルームに無料でアップグレードして欲しい、誕生日なので部屋を飾りつけておいてほしいなどのリクエストに無理に応える必要はありません。そのようなリクエストを言われた時は、よりよい部屋に宿泊するプランを提示したり、部屋の飾り付けを手伝うなどの現実的なリクエストに落ち着かせましょう。単純に拒否するのではなく、適切な落としどころを見つけることで、リピートの見込みがなくても、宿泊客にとって忘れられない体験を提供することができ、リピートにつながるかもしれません。
5. ルームアサインは難しいからこそ楽しい業務
一般的にルームアサインは宿泊日前日の夜に行うことが多いです。そのため、ほとんどのホテルではナイトフロントスタッフが担当します。ルームアサインは予約情報とにらめっこしながら宿泊客、清掃スタッフの心情をイメージし、パズルのように組み立てていきます。そのため、全てが組みあがったときの達成感は計り知れません。業務が少ないナイトフロントスタッフにとって、ルームアサインは頭を動かしながら明日のホテルの動きを考えることができる楽しい業務と評判です。ルームアサインに挑戦してみたい場合はフロントスタッフまたはナイトフロントスタッフに応募してみましょう!
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まとめ
ルームアサインは、ホテル業界において非常に重要な業務です。宿泊客の満足度やホテルの運営効率に直接影響を与えるため、正確かつ迅速な対応が求められます。特に、フロントスタッフの柔軟性や対応力が大きな役割を果たします。この記事でルームアサインに興味をお持ちの方はフロントスタッフ、ナイトフロントスタッフに挑戦してみましょう!